749【進路とキャリア3】進学先が見つからない時の原則
「大学でやりたいことが見つからない」「大学に行く気がしない」という結果になったら、進学をしないで社会に出ることを検討しましょう。意味のない時間やお金を使うのではなく、自立を促す、本来の親の姿勢をブレずにお子さんに提示する。それは(2)でもお話ししたように憲法で定められている国民の義務でもあるからです。
しかし高卒で就職すると言っても、
1 初任給や生涯賃金が大卒よりも低くなる可能性が高くなる
2 大卒の求人に応募できない
3 大卒よりもキャリアアップが難しい
4 自由な時間が取りづらい
と、調べてみても、こんなネガティブな情報しか出てきませんから、親として姿勢がブレそうになるのも分かります。
社会に出るには、民間の会社に就職する方法がありますが、高校生が民間企業に就職するプロセスには一番重要な「自己決定」がありません。限られた求人から1つだけを選び、併願ができません。内定が決まると辞退もできません。この制度では高卒で社会に出る選択肢を選ぶ方が厳しいと言わざるを得ません。
ただ進学とキャリアの区別はしっかりつけておきましょう。
進学先は自分が希望すれば、医学部などの難しい学部を除けば思い通りの進学ができますが、就職は受験したい会社を選べても採用されるかは別ですし、職種は選べても「仕事」自体は上司が指示した仕事をしますから選ぶことができません。
9割以上が高校を出て進学しますし、大学はブランド作りに躍起になってますから、それを助長する話もたくさん出てます。
でも、ちょっと「あれ?」って思うこともあります。
1 初任給や生涯賃金が大卒よりも低くなる可能性が高くなる。は、
確かに初任給はほぼ100%、高卒の方が低くなりますが大卒の同じ4年後には昇給しています。生涯賃金も、統計のベースになっている人はおそらく現在65歳から70歳くらいの人を対象にしているわけですから、彼らが若い頃は、今のように大学があちこちにあったわけではありません。何よりこの世代は終身雇用で人生を送ってきたのですから、今のように9割が進学し、誰でも入れる大学がある、終身雇用が崩れ、非正規雇用や週休3日が勧められている時代で、高卒だから賃金が安いというのは鵜呑みにはできません。
2 大卒の求人に応募できない。
これは当たり前の話ですね。
3 大卒よりもキャリアアップが難しい。
高卒で民間就職すると5割が3年以内に辞めるというデータから考えれば、そうなのかもしれませんが、IT技術者は会社で育成している状況をみても、大学でスキルを身につけられない実情も見えています。
4 自由な時間が取りづらい。
これは働いていれば当たり前で、おそらく同じ年齢の学生と比べているのかもしれません。
進学先が見つからないのなら、働くのは理解できても「自己決定」のできない状況は良くありません。仕事がつまらない、人間関係がうまくいかないと、自分に原因があっても「人のせい」する逃げ道を作ってしまうことです。逃げ道ができると、社会人として、また人間としての成長は止まりますから、健康や命に関わることは別として、若いうちから「逃げ道」を作らないように心がける必要があるでしょう。
こうなると、悪いと分かっていても親が強引に進路を決めてしまう方がまだマシなのではないかと思われがちですが、最後に1つの選択が残されています。
それも、お子さんの「自己決定」がある程度できて、キャリアアップの仕組みもあって、学歴ギャップのない進路選択、それが公務員就職なのです。この続きは次にお話しします。